少子化に伴う産婦人科の減少

少子化で産院が減り、産院が減り少子化が進む

出産ができない

医師をはじめとする医療関係者の数は、少子高齢化とともに不足傾向が続いています。中でも産科・産婦人科の医師不足は深刻で、この数年で「分娩取り扱い施設」の数は激減してしまいました。特に人口減少が激しい地方などは、産婦人科の数も減ってしまい、分娩休止のお知らせを行うような産婦人科医院も増えています。

そのため、病院まで車で片道2時間かけて健診に通う妊婦さんなどもいるのだとか。産婦人科医院や医師が激しく減少している理由としては、産婦人科の過酷な勤務内容(時間が不規則、過密労働など)に加え、医療訴訟の増加などが考えられます。急を要さない慢性的な疾病の診察にあたる医院の場合は、診察時間内に勤務を終えることができますが、お産(分娩)を扱う産婦人科の場合は、必ずしも診察時間内にお産が始まるわけではありません。

また、診察時間内にお産が始まった場合にも、一般の妊婦健診などに来院している妊婦さんの診察も行わなければならないわけで、産婦人科のスムーズな運営というのはよほどたくさんの医師を常駐させることができなければ難しいというのが現状です。

少子化の悪循環

産婦人科医は、そんな大変な職務であるのにも関わらず、報酬に関しては他の診療科の医師と大差がないというのも問題です。そのうえ、少子化が進む現在においては、お産の数自体が減ってしまっている、ということも産婦人科の経営に大きな影響を与えています。

分娩数が減少すれば、医師の過密勤務も楽になるのでは…?と思う人もいるかもしれませんが、自体はそう単純ではありません。分娩数が減ったことにより産婦人科医院自体の数が減少してしまったことや、医療訴訟に発展するリスクなど考慮しなければならない問題を多く含む職務であることから、医師の成り手が減り、結果として現在残っている産婦人科医院への負担が大きくなってしまっているのです。

大きな負担を抱えた産婦人科医院がどんどん潰れる・閉院していくことによって、ますます出産できる場所がなくなり、少子化がさらに深刻化するという悪循環になりつつあります。